【2027年危機!?】元防衛大臣政務官が語る、日本が抱えるリアルな脅威とは?
平和ボケ日本への警鐘を鳴らす本
「知らないと後悔する 日本が侵攻される日」は2022年発行。
元防衛大臣政務官の佐藤正久氏が、日本が直面する安全保障上の脅威を、具体的なエピソードを交えながら解説した一冊です。
本書では、ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、日本が置かれている状況が決して他人事ではないことを、読者に突き付けています。
ロシアが北方領土を絶対に返さない理由とは?
ロシアの太平洋艦隊が太平洋に出るためには、三つのルートが考えられます。しかし、日本海を通るルートは距離が長く、津軽海峡は日本の領土であるため、現実的なのは宗谷海峡を通るルートのみです。
ところが、オホーツク海は冬になると凍結してしまうため、ロシアは冬でも航行できる不凍港を求めていました。そこで目を付けたのが、北方四島です。北方四島があれば、ロシアは最短ルートで太平洋に出ることができます。
さらに、北方四島周辺の海域は、冬でも凍結せず、豊富な水産資源があるため、ロシアにとって経済的にも重要な拠点となっています。このような地理的、経済的な重要性を考えると、ロシアが北方領土を返還する可能性は極めて低いと言えます。
実際に、1991年から1999年のエリツィン大統領時代には、ロシアの経済不況を背景に、日本からの経済支援と北方四島の返還が検討されたことがありました。しかし、日本経済の低迷により、交渉は進展せず、好機を逃してしまいました。
中国のミサイルは沖縄・嘉手納基地を破壊し尽くす?
中国は、甘粛省や新疆の砂漠に、沖縄の嘉手納基地や早期警戒管制機(AWACS)を模した標的を建設し、ミサイル攻撃の訓練を行っています。滑走路、格納庫、機体など、詳細な目標物を定めてミサイル攻撃の訓練をしているのです。
中国は、安価なミサイルで、高額な戦闘機やAWACSを一気に叩き、無力化する効率性を重視した戦略をとっています。2020年にアメリカが行った極超音速ミサイルの発射実験は8回でしたが、中国は250回ものミサイル発射実験を行っています。
中国のミサイル技術の進歩は著しく、日本にとって看過できない脅威となっています。
台湾有事、それは他人事ではない!
台湾有事とは、中国が台湾に武力侵攻することを指します。多くの日本人は、台湾有事を対岸の火事だと考えているかもしれません。しかし、台湾有事は、日本にも大きな影響を与える問題です。
台湾は、中国大陸と太平洋を隔てる重要な場所に位置しており、中国の海洋進出を阻む存在です。もし中国が台湾を支配した場合、中国は自由に太平洋に進出することができるようになり、日本の安全保障は大きく脅かされることになります。
専門家の間では、2027年までに中国が台湾に軍事侵攻するリスクがあると指摘されています。2027年は、中国にとって重要な年であり、習近平国家主席が4期目を決める年とされています。
まとめ
著者の佐藤氏は、元自衛官としての経験を踏まえ、平和を守るためには、「自分たちの国は自分たちで守る」という意識が重要だと訴えています。
かつてシリアやイラクに隊員を率いていった経験から、国民全員の命を守る必要性を痛感した佐藤氏は、政治家になった今もその使命は変わっていないと述べています。そして、国民一人ひとりが、日本が直面する脅威を認識し、平和について真剣に考えることが重要だと訴えています。
「知らないと後悔する 日本が侵攻される日」は、安全保障に関心の薄い人や、国際情勢について詳しく知りたい人におすすめの一冊です。
特に、ロシア、中国、北朝鮮が、それぞれどのような戦略で日本に脅威を与えているのか、具体的な数字やエピソードを交えながら解説している点は、リアリティがあり、強い危機感を抱きました。
また、著者の主張は、あくまでも「備え」の重要性を訴えるものであり、特定の国に対する敵意を煽るものではないと感じました。
本の目次と要約
プロローグ すでに戦争は始まった。日本侵攻は2027年か
この章では、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、日本が直面する安全保障上の問題点について概説しています。著者は、日本が平和ボケの状態から脱却し、現実的な危機意識を持つことの重要性を訴えています。
第一章 ロシアはなぜあれほどウクライナに苦戦しているのか
この章では、ロシアがウクライナで苦戦を強いられている理由を、軍事戦略の観点から分析しています。 ロシア軍は、最新鋭の兵器を保有しているにもかかわらず、ウクライナ軍の抵抗や西側諸国からの支援、そして自らの作戦ミスにより、苦戦を強いられています。
第二章 ロシアは北方領土を返すつもりはない
北方領土問題について、歴史的背景やロシア側の思惑を解説しています。 ロシアにとって北方領土は、太平洋への重要な戦略拠点であり、経済的にも重要な価値を持つため、返還する意思はないと著者は主張しています。
第三章 北朝鮮のミサイルは東京を焦土にするか?
北朝鮮のミサイル開発の実態やその脅威について解説しています。 北朝鮮は、核兵器の開発を進めており、日本も標的となり得ると著者は警告しています。
第四章 中国は台湾の次に尖閣を狙う。その時、日本は?
中国の海洋進出戦略と尖閣諸島問題について解説しています。 中国は、台湾統一を最終目標としており、尖閣諸島もその一部とみなしていると著者は指摘しています。
また、アメリカは、国内問題を優先するようになり、世界で影響力を維持することが難しくなってきています。そのため、日本はアメリカに頼り切るのではなく、自国の防衛力を強化する必要があると著者は主張しています。
第五章 まったく新しい戦争と人間
現代の戦争の特徴である、情報戦やサイバー攻撃、AI兵器などについて解説しています。 ウクライナ侵攻では、これらの新しい技術が駆使され、従来の戦争の常識が通用しない事態も起こっています。
第六章 世界平和実現を絵空事にしないために
国際連合の機能不全や、日本が世界平和のために果たすべき役割について論じています。 著者は、日本は、アメリカとの同盟関係を強化しつつ、他の国々とも連携し、国際社会で積極的な役割を果たすべきだと主張しています。
あとがき
この章では、著者は、ウクライナ侵攻が日本に突きつけた教訓を改めて強調し、日本が「自分たちの国は自分たちで守る」という意識改革を行い、具体的な行動を起こす必要性を訴えています。