政治家が書いた本をレビュー。ビジョンと熱い想いを知ろう!

「覚悟」長島 昭久|民進党政権時代から離党までの葛藤を綴った本

記事内に広告を含みます

長島昭久著「覚悟」:混迷の時代に必要な政治家としての覚悟とは何か

長島昭久氏が、政治家としての原点から、民主党政権時代、そして、民進党離党に至るまでの葛藤と決断を赤裸々に綴った「覚悟」。

さらに、激動する国際情勢の中で、日本の安全保障。
そして、未来を担う子供たちの未来保障のために、政治家は何をすべきか、著者の熱い思いが込められています。

「遅きに失した」離党の真相

2017年4月、長島氏は民進党に離党届を提出しました。
「遅きに失した」という思いと共に。

なぜ、彼はこの決断に至ったのでしょうか?

その背景には、安全保障に対する根深い認識の違いがありました。長島氏は、1980年代から集団的自衛権の行使を認めるべきだと考えていました 。ソ連の脅威が深刻化する中、日米同盟の強化こそが地域の平和と安全のために不可欠であると考えたからです 。

しかし、民主党内には、国際情勢の変化を直視せず、集団的自衛権に反対する意見が根強くありました。2015年の安保法制をめぐる国会論議では、建設的な議論がなされず、揚げ足取りや憲法論争に終始してしまったことに、著者は強い失望感を抱きます。

民主党政権時代の苦闘と成果

長島氏は、民主党政権時代、外交・安全保障政策において重要な役割を果たしました。自民党との対立軸を意識しながらも、現実的な政策を模索し続けます。

2009年には、自衛隊によるソマリア沖海賊対処行動の抜本的拡充を政府に提案。これは、グローバルな視点で航海の安全確保に貢献するという、日本の主体的な外交姿勢を示すものでした。

また、菅政権下で行われた「防衛計画の大綱」の改定は、民主党政権における最大の成果と言えるでしょう。イデオロギー対立を乗り越え、超党派で現実的な防衛政策を生み出すことの重要性を、長島氏は訴えます。

尖閣国有化の舞台裏と「活米」の必要性

2012年、尖閣諸島国有化問題が勃発。長島氏は、国有化チームの一員として、石原慎太郎東京都知事との交渉など、緊迫した状況下で任務にあたりました。

中国側の強硬な姿勢を目の当たりにし、長島氏は、日米同盟の重要性を再認識するとともに、「活米」の必要性を痛感します。これは、単にアメリカに追従することではなく、日本の国益のために、アメリカとの連携を最大限に活用する、したたかな外交姿勢を意味します。

混迷の時代の先に

長島氏は、政治家として、日本の未来に対する強い危機感を抱いています。特に、深刻化する子供たちの貧困問題、そして、後を絶たない児童虐待は、喫緊の課題です。

著者は、フィンランドの「ネウボラ」のような、切れ目のない子育て支援制度の導入や、幼児教育の完全無償化 など、具体的な政策を提言しています。

まとめ

「覚悟」には、混迷の時代において、政治家は何をすべきかを問いかける、熱きメッセージが書かれています。著者の経験に基づいたリアルな描写は、読者に政治への関心を喚起するとともに、日本の未来について深く考えさせる力を持っています。

おすすめポイント

  • 政治家としての成長と葛藤が赤裸々に描かれている
  • 複雑な政治状況や政策課題が分かりやすく解説されている
  • 日本の未来に対する著者の熱い思いが伝わってくる

政治的に中立な立場から見ても、本書は、政治家としての責任と覚悟を改めて考えさせられる一冊です。特に、政治に関心の薄い若者世代にこそ、読んでほしいと感じました。

¥1,100 (2025/03/21 19:28時点 | Amazon調べ)
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\商品券4%還元!/
Yahooショッピング

本の目次と要約

はじめに

2017年4月10日、著者は16年間在籍した民主党・民進党を離党。本書では、その理由と目指す「真の保守」政治、そして日本の未来への考えを語る。

第1章 民進党を離党した理由

  • 民主党政権の経験と限界2009年の政権交代の裏側:鳩山政権誕生と日米関係の課題、普天間基地移設問題への取り組みについて。
  • 民主党政権における安全保障政策のジレンマ:有事関連三法案への対応、防衛庁の省昇格問題、駆付け警護導入の挫折、内閣法制局との攻防について。
  • 野田政権の成果と限界:尖閣国有化と日米中関係、外交・安全保障政策における成果と課題、消費税増税による党内分裂について。
  • 「万年野党」からの脱却を目指して民主党の再生と課題:2012年、2013年の衆参両院選挙敗北の総括、政策提言活動と党内改革への取り組みについて。
  • 民主党の路線転換の必要性:共産党との野党共闘路線からの転換、政策の方向性見直し、経済成長戦略と外交・安保政策の再構築の必要性について。
  • 民進党代表選からの撤退と党への失望:推薦人集めに奔走するも、野党共闘路線からの転換に難色を示す議員が多い現状に失望し、代表選から撤退。
  • 離党を決意させた「限界」野党共闘路線への疑問:共産党との選挙協力に依存した現状に疑問を呈し、政策論争を通じた自力再生の必要性を訴える。
  • 蓮舫代表への失望:二重国籍問題への対応、共産党との連携路線継続など、蓮舫代表への失望を表明する。
  • 民進党に見切りをつけ、真の保守政党の結党を目指す決意:既存の政党では日本の課題解決が困難であると判断し、自らが目指す「真の保守」政党の結党を目指す決意を表明する。

第2章 民主党政権の蹟き 政権交代の裏側で

  • 2009年、民主党政権誕生と著者の防衛大臣政務官就任。日米関係修復のため、普天間基地移設問題で揺れる沖縄を訪問し、アメリカとの関係改善に奔走した経験を振り返る。

第3章 尖閣国有化 国際政治の荒波を超えて

  • 2012年、石原都知事による尖閣諸島購入表明を契機に、日中関係が緊迫。野田政権は国有化を決定するが、中国の反発は激化。アメリカを巻き込みかねない状況の中、国際政治の難しさを痛感した経験を語る。

第4章 真夏の東京都知事選 混乱を極めた舞台裏

  • 2016年、舛添都知事の辞任を受け、混乱の中で行われた東京都知事選。民進党は鳥越氏を擁立するも、小池氏に大敗。その舞台裏を明かし、民進党の迷走ぶりを批判する。

第5章 悔恨 我々はどこで間違ったのか

  • 2000年、衆議院議員を目指し、民主党から立候補。政権交代可能な二大政党制の実現を目指し、政治活動に邁進してきたが、民主党は本来の理念を見失い、野党共闘路線に深く蝕まれていく。その過程を振り返り、無念の思いを吐露する。

第6章 子どもの「未来保障」 人材育成で日本の将来を拓こう

  • 川崎市中学一年生殺害事件をきっかけに、日本の将来を担う子どもたちの未来を守るため、「人づくり」の重要性を訴える。深刻化する子どもの貧困問題、幼児虐待問題を取り上げ、具体的な対策を提案。フィンランドの支援制度「ネウボラ」や幼児教育無償化など、子どもたちの未来への投資の必要性を強調する。

あとがき ~ど真ん中の世論の期待に応える「改革新党」をつくる~

  • 民主党離党の真意を改めて表明し、真の保守政党の結党を目指す決意を表明。橋下徹氏、小池百合子氏への期待を語りつつ、読者への感謝の言葉で締めくくる。

関連リンク