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「国会という茶番劇」足立康史|国会や野党を痛烈に批判した本

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無責任野党と万年与党… 日本政治の「茶番劇」に喝!

2019年に発行された本書「国会という茶番劇 維新が拓く日本の新しい政治」は、日本維新の会所属の衆議院議員、足立康史氏によって執筆されました。政治家として、そして一人の国民として、日本の未来に対する憂いと希望が熱く語られています。

既存政党への痛烈な批判と日本維新の会への期待

著者は、1993年以降、自民党に代わる政党が現れなかったこと、そして現在の立憲民主党が社会党と同じ道を辿ろうとしている現状を厳しく批判しています。そして、既存政党の中で特に無責任な野党の欺瞞を糾弾し続けてきた自身の経験を踏まえ、彼らを甘やかしてきた自民党の責任も大きいと指摘しています。

その上で、著者は、小さな船でありながらも高性能エンジンを搭載した「維新」というボートに、令和の時代を担う大きな期待を寄せています。維新は、大阪維新の会が大阪で実行力を発揮し、「大阪都構想」を実現することで、新しい行政システムを具体化していくことを目指しています。

具体的なエピソードを交えた、国会の実態とは?

本書の魅力は、著者が実際に体験したエピソードを交えながら、国会の実態を生々しく描いている点にあります。例えば、著者は国会で「あの面々事件」を起こした際、当初は立憲民主党の枝野代表を名指しで批判する予定だったものの、党幹事長に止められたという裏話を暴露しています。

また、著者は、国会議員が提出する質問主意書の内容の多くが、官僚から事前に内容を聞き、ほとんどそのまま丸写ししたものであるという驚くべき事実を明かしています。さらに、近畿財務局の職員が自殺した事件についても、自民党の国対からのプレッシャーが原因であった可能性を示唆するなど、国会と官僚組織の歪んだ関係を浮き彫りにしています。

「三都物語」が織りなす日本の未来とは?

著者は、日本の未来を考える上で、東京一極集中ではなく、それぞれの地域が独自の努力と才覚で自律的に発展する多極分散型の国づくりを目指すべきだと主張しています。そして、その具体例として、「三都物語」、つまり福島の復興、大阪の経済発展、沖縄の基地問題を取り上げています。

特に大阪については、著者は、大阪維新の会が推進する「大阪都構想」が、東京一極から東西二極へ、そして多極分散型の国づくりへの第一歩となると考えています。都構想の実現に向けた取り組みや、公明党との駆け引きなど、緊迫感あふれる描写は、リアリティが感じられました。

憲法9条改正、社会保障改革… 重要テーマへの提言

本書では、日本の未来を左右する重要テーマについても、具体的な提言がなされています。例えば、著者は、憲法9条の改正は避けて通れないテーマだと断言。「憲法改正=9条改正」という固定観念を払拭する必要性も訴えています。

また、社会保障制度については、高度成長期の仕組みが人口減少・少子高齢化の時代にそぐわなくなっている現状を指摘し、抜本的な改革の必要性を訴えています。特に、著者は、マイナンバーカードのフル活用による給付型税額控除の導入を提唱し、究極的には生活保護制度や公的年金制度も一本化できるとの見解を示しています。

まとめ

「国会という茶番劇 維新が拓く日本の新しい政治」は、日本の政治の現状と未来について、鋭い視点と具体的な提案が満載された一冊です。政治に関心の薄い層にも、著者の体験に基づいたリアルなエピソードや、歯に衣着せぬストレートな物言いを通して、政治を身近に感じることができるでしょう。

特に、従来の政治に疑問を抱いている人、日本の未来を真剣に考えている人、そして大阪都構想や日本維新の会について詳しく知りたいという人にとっては、おすすめの書籍です。

本の目次と要約

第一章 “万年与党”自公政権が日本を減ぼす

  • 第1節 憲法9条を巡る自民党の軽薄さ
    9条改正を掲げる安倍政権だが、自民党内には石破茂氏のように足を引っ張るものがいる。彼らは、靖国神社や国立追悼施設の問題、スパイ防止法制の不備など、日本の平和ボケを象徴する問題から目を背けている。
  • 第2節 財政規律なき自民党の無責任体質
    財政規律を唱える一方で、建設国債や赤字国債など、将来世代へのツケ回しを続けている自民党の姿勢を批判する。特に、小泉進次郎氏の「こども保険」に見られる場当たり的な政策は、問題の根本的な解決につながらないと指摘する。
  • 第3節 石破茂さんを僕が名指しで批判したワケ
    憲法9条改正や加計学園問題などで、安倍総理の足を引っ張る石破茂氏の言動を批判する。石破氏は、国民のためではなく、自身の野心を満たすためだけに政治活動を行っていると指摘する。
  • 第4節 小泉進次郎という「バカ息子」
    世襲議員である小泉進次郎氏を「バカ息子」と断じ、その政治姿勢を批判する。小泉氏は、具体的な政策論争から逃げ、メディアに守られながら人気取りに終始していると指摘する。

第二章 万年野党議員ほど気楽な商売はない

  • 第1節 実はアホばか野党議員たちを自民党が守っている?!
    野党議員の多くは、政権交代を目指す気概がなく、自民党の批判に終始していると指摘する。自民党もまた、野党を叩き潰すのではなく、むしろ利用することで、自分たちに都合の良い政治状況を作り出していると分析する。
  • 第2節 こんなにも気楽な万年野党の議員たち
    立憲民主党や共産党など、野党議員の無責任な言動を具体例を挙げて批判する。彼らは、国会での議論よりも、パフォーマンスや自己保身に走っていると指摘する。
  • 第3節 今、必要な政策構想力と実行力
    国民民主党の玉木雄一郎代表との連携に期待を寄せる一方で、小沢一郎氏との連携で「オリーブの木」に捕らわれてしまったことを嘆く。維新以外の野党は政策構想力も実行力も欠如しており、真に国民のための政治を行う政党が必要だと訴える。

第三章 日本の何を守り何を変えるべきか

  • 第1節 令和の御代替わりと国会議員の重い責任
    令和の時代を迎え、皇室の安定的継承の重要性を改めて強調する。男系男子による継承を重視する立場から、女性天皇や女系天皇には反対の意を示す。
  • 第2節 日本経済の双発エンジン・大阪
    東京一極集中の是正と大阪の発展の必要性を訴える。大阪都構想の意義や大阪・関西万博への期待、統合型リゾート開業による経済効果などを解説する。
  • 第3節 日本の平和と安全の礎。沖縄
    普天間基地の辺野古移設問題について、国と沖縄県の対立を解消するために「米軍基地設置手続き法」の制定を提案する。また、憲法9条改正や日米安保の見直しなど、日本の安全保障政策について独自の考え方を示す。

第四章 「三都物語」が織りなす日本の未来

  • 第1節 福島第一原発事故こそ僕が政治を志した原点
    東日本大震災と福島第一原発事故を機に、政治家を志した経緯を振り返る。原発政策については、安全性確保を大前提に、責任の所在を明確化した「原発再稼働責任法案」の必要性を訴える。
  • 第2節 日本経済の双発エンジン・大阪
    大阪の発展が日本経済の活性化につながると主張し、大阪都構想の意義を改めて解説する。東京一極集中の弊害を指摘し、大阪をもう一つの拠点とする「二都構想」の必要性を訴える。
  • 第3節 日本の平和と安全の礎。沖縄
    普天間基地の辺野古移設問題について、改めて「米軍基地設置手続き法」の必要性を訴え、手続きの透明化と公平性の確保を訴える。中国の海洋進出や香港・台湾問題にも触れ、日本の安全保障政策の重要性を強調する。

おわりに

国民主権の実現に向けて、逆ピラミッド型の政治システムへの転換を呼びかける。

これまでの政治を「茶番劇」と批判し、日本維新の会のような新しい政治勢力が必要だと訴える。

関連リンク

足立康史オフィシャルサイト:メディア出演情報が充実。

足立康史公式チャンネル「あだチャン」(YouTube):動画本数1000本超。見どころ一杯。

足立康史 X(Twitter):更新頻度、高。他者との意見交換も面白い。