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「芸人学生、知事になる」東国原 英夫|異色の転身を遂げた体験記

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芸人から知事へ! 東国原英夫氏、波乱の人生と学びの軌跡を追う!

「芸人学生、知事になる」は、2008年に発行。

本書は、お笑い芸人として活躍していた東国原英夫氏が、不祥事をきっかけに人生を見つめ直し、40歳を過ぎて早稲田大学に入学、そして宮崎県知事となるまでの道のりを描いた体験記です。

23歳で早稲田大学に合格していた!?

1957年生まれの東国原氏は、18歳の時に専修大学に入学するも、当時の彼にとって、東京という街全体が大学であり、社会勉強の方がはるかに大切だと考えていました。そのため、大学にはほとんど通わず、お笑い芸人としての道を歩み始めます。

23歳の時、漫才ブームの中心にいたビートたけし氏に弟子入りし、順風満帆なスタートを切ります。しかし、大学進学への思いを完全に捨てきれたわけではありませんでした。

高校時代、友人から「お前の受験番号あったと思うぞ」と告げられ、早稲田大学に合格していたかもしれないという出来事があったのです。この出来事が、23年後、再び早稲田大学を受験する動機の一つとなっています。

どん底で気づいた「価値観の変革」

人気絶頂の中、東国原氏は不祥事を起こし、長い謹慎生活を送ることになります。この謹慎生活の中で、東国原氏は自分自身と向き合い、価値観を180度変えることを決意。過去の自分を捨て、考え方、生活、精神と肉体を鍛え直すという過酷な作業に取り組みます。

東国原氏は、それまでの生活レベルの高さを見直し、自らの手で生活を変えていくことから始めました。例えば、それまでは人任せだった買い物や郵便、銀行の手続きも自分で行い、移動手段も電車を使うようになりました。また、金銭感覚も大きく見直していきました。

40歳、再びの早稲田大学合格!

東国原氏は、パソコン教室に通い始めたことをきっかけに、再び大学受験を決意します。家族にも内緒で、早稲田大学第二文学部を目指し、猛勉強の結果、見事合格。40歳を超えての再出発、そこには「芸人学生」としての新たな挑戦が始まっていました。

社会人学生として、そして一人の人間として

早稲田大学では、1年生から「卒業生総代を目指す」という目標を掲げ、授業に真剣に取り組みます。 社会人学生として、また一人の人間として、多くのことを学び、成長していく様子が描かれています。

地方自治への関心、そして宮崎県知事へ

大学で社会システムについて学ぶ中で、東国原氏は地方自治への関心を深めていきます。特に、故郷である宮崎県都城市の市町村合併問題を取り上げた卒論執筆を通して、地方の抱える問題を肌で感じていきます。

そして、2007年、東国原氏は宮崎県知事選挙に出馬し、見事当選。
芸人から知事へと転身した彼の姿は、多くの人々に衝撃と感動を与えました。

まとめ

「芸人学生、知事になる」は、東国原氏の波乱万丈な人生と、学びに対する真摯な姿勢、そして故郷への熱い思いが伝わってくる一冊です。

本書は、東国原氏が自身の経験を通して、人生における学びの大切さ、そして自己変革の可能性を教えてくれる貴重な記録だと思いました。

本の目次と要約

第1章 お笑い芸人失格

  • 過去の栄光と挫折:人気お笑い芸人として順風満帆な生活を送っていた著者が、自身の不祥事により人生の転機を迎えるまでの経緯を振り返る。
  • 価値観の揺らぎ:不祥事と自主謹慎生活の中で、それまで信じていた価値観が崩壊していく様と、社会とのギャップに苦悩する姿を描く。
  • メディアの価値観とイメージの呪縛: メディアの価値観に翻弄され、イメージに縛られた芸能生活の虚構性を痛感する。
  • 生活レベルからの価値観変革: 贅沢な生活を改め、自給自足に近い生活を通して価値観の変革を図ろうとする試みを描く。
  • 読書と勉強、そして新たな挑戦への決意: 読書を通して自身の無知を痛感し、パソコン教室に通い始めるなど、新たな挑戦へ向けて動き出す。
  • 早稲田大学への挑戦: 早稲田大学文学部への受験を決意するまでの心の葛藤と、受験勉強に没頭する日々を描く。

第2章 中年男の決断

  • 決意の旅立ち: 早稲田受験を決意し、故郷・宮崎へのフェリーの中で過去の自分と決別し、新たな人生へのスタートを切る決意をする。
  • 18歳からの大学受験、英語との格闘: 受験勉強の中でも特に英語学習に苦労しながらも、独自の学習方法で克服していく過程を描く。
  • 合格発表と家族の支え: 見事、早稲田大学社会人入試に合格。家族や周りの人々の支えに感謝し、入学への期待を膨らませる。
  • 再びキャンパスライフ、学生との交流: 入学後、年齢差を感じさせない学生たちとの交流を通して、大学生活への期待感と高揚感を表現する。

第3章 芸人学生の大学生活

  • 大学生活の始まり: 2度目の大学生活を送り始めた著者が、講義や友人との交流を通して新たな刺激を受ける様子を描く。
  • 社会人学生の意識の高さ: 目標意識の高い社会人学生との出会いを通して、自身の甘さを反省し、学習意欲を高めていく。
  • 経済状況の変化と心の変化: 自主謹慎による収入減と貯金減に直面し、経済的な不安を抱えながらも、価値観の変革を進めていく。
  • 個性的な教授たちとの出会い: 個性豊かな教授たちとの出会いを紹介し、ユーモアを交えながら大学で得られる知的刺激の大きさを語る。
  • 学びの喜びと学生たちの姿: 年齢を重ねて改めて学ぶ喜びを感じるとともに、様々なバックグラウンドを持つ学生たちの姿に感銘を受ける。
  • 議論を通して深まる学び: 学生たちとの活発な議論を通して、多様な価値観に触れ、自身の視野を広げていく様子を描く。
  • 大学で得たもの: 4年間の大学生活を振り返り、成績や単位よりも、教養や人間関係など、大学で得たものの大きさを実感する。

第4章 2度目の受験と卒論

  • 文学と哲学への挑戦と挫折: 文学や哲学を学びたいという当初の思いとは裏腹に、その奥深さに圧倒され、自分には才能がないことを悟る。
  • 社会システムへの関心と地方自治への目覚め: 福祉問題や地方自治に関心を持ち始め、社会の仕組みに対する意識を高めていく。
  • 故郷への思いと地方への関心: 東京での生活に疲れを感じ、故郷・宮崎への愛着を取り戻していく過程と、地方自治への関心の高まりを描く。
  • 早稲田大学大学院への挑戦: 地方自治をより深く学ぶため、早稲田大学大学院公共経営学科への受験を決意する。
  • フィールドワークを通して見えた地方自治の現実: 統一地方選挙の候補者に密着取材を行うなど、フィールドワークを通して地方自治の現実を目の当たりにする。
  • 卒論執筆と宮崎への思い: 市町村合併問題をテーマに卒論執筆を進める中で、故郷・宮崎への思いを新たにする。
  • 度重なるトラブルと仲間たちの支え: 卒論執筆中にデータ消失というトラブルに見舞われながらも、家族や友人たちの支えで乗り越える。
  • 卒論完成と新たな目標: 数々の困難を乗り越え、ついに卒論を完成させる。そして、その先にある新たな目標を見据える。

第5章 人生、生涯勉強

  • 公務員気質と社会貢献への思い: 自身の性格や経験を踏まえ、公務員や大学教授といった社会貢献に関心の高い職業への興味を語る。
  • 人生のピークを目指して: 60歳で人生のピークを迎えるために、肉体的にも精神的にも成長し続けたいという強い意志を示す。
  • 価値観の変革と社会へのまなざし: 価値観の変革を続ける中で、現代社会の歪みや問題点に目を向け、健全な社会のあり方を模索する。
  • 大学という空間の魅力: 大学に通い続ける理由として、知識や教養を深めるだけでなく、大学という空間が持つ特別な魅力を挙げる。
  • 未来への展望: 大学院進学、地方自治体への出馬など、将来の選択肢を検討し、自分自身の可能性を信じ、未来に向かって歩み続ける決意を示す。

エピローグ 自己変革がもたらす奇跡

  • 宮崎県知事選への決意: 様々な経験を経て、故郷・宮崎県の発展に貢献したいという思いを強くし、県知事選への立候補を決意する。
  • 組織選挙からの脱却: 従来の組織選挙とは異なる、政策重視のマニフェスト選挙の実現を目指し、有権者の意識改革を訴える。
  • 県民との対話と宮崎の未来: 県民一人ひとりと向き合い、対話を重ねることで、宮崎県の抱える問題点や将来像を共有することの重要性を説く。
  • 自己変革の先に: 過去の不祥事と反省を踏まえ、価値観の変革と自己改革を続けることで、新たな人生を切り開いていく決意を示す。

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