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「宮崎で生まれた改革の波は、そのまんま~東へ!」東国原英夫|宮崎県知事選に当選するまでの軌跡を書いた本

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東国原英夫氏の波乱万丈な半生と、宮崎県知事選勝利までの道のりとは?

2007年9月発行の「宮崎で生まれた改革の波は、そのまんま~東へ!」(東国原英夫 著)は、お笑い芸人「そのまんま東」としてお茶の間の人気者になった東国原英夫氏が、宮崎県知事選に出馬し、当選するまでの道のりを描いた自伝です。波乱万丈な幼少期から、たけし軍団時代、そして政治家への転身までを赤裸々に語っています。

複雑な家庭環境、そして芸人への憧憬

東国原氏は1957年、天孫降臨の地として知られる宮崎県都城市に生まれました 。しかし、幼少期は複雑な家庭環境で育ちます。両親の離婚騒動から、母と父、どちらについていくか?を決断しなければならなくなります。
小学2年生の東国原氏は、頭の中の鉛筆が倒れた母についていくことにし、新しい父の苗字「東国原」になったそうです。

1969年、中学に入学した東国原少年は、当時人気絶頂だった芸人「アホの坂田」こと坂田利夫さんに憧れを抱き、お笑い芸人になることを夢見るようになります。しかし、厳格な家庭環境もあり、高校は県内有数の進学校である都城泉ヶ丘高校に進学 。この高校時代には、後に選挙戦を共に戦うことになる仲間たちとの出会いもありました。

上京、そしてたけし師匠との出会い

大学進学を機に1976年2月、上京した東国原氏は、早稲田大学社会科学部を志望していましたが、受験に失敗。専修大学経済学部に入学するも、大学にはほとんど通わず、麻雀に明け暮れる日々を送ります。

大学3年生になった頃、漫才ブームが到来し、東国原氏の心は再びお笑いへと傾いていきます。そして、1982年、ビートたけしさんに弟子入り。たけし軍団の一員として、過酷ながらも充実した日々を過ごす中で、場の空気を読むことや、人を楽しませるエンターテイメントの真髄を学びます。

フライデー事件と芸能活動

1986年12月9日、師匠であるビートたけし氏が起こした「フライデー襲撃事件」。東国原氏も軍団の一員としてこの事件に関与したことで、謹慎処分を受けることになります。

事件後も、執筆活動など精力的に活動を続け、作家としての才能も開花させます。1990年には、たけし師匠の代役として「オールナイトニッポン」のパーソナリティを務めたこともありました。

再びの挫折、そして自分と向き合った日々

順風満帆に見えた芸能生活でしたが、1998年10月、イメクラ淫行疑惑事件により、再び窮地に立たされます。マスコミの過熱報道に翻弄されながらも、師匠・ビートたけしさんの言葉に救われ、自分自身と向き合う日々が始まります。

騒動の中で、東国原氏は自分の人生を振り返り、価値観の変革を決意。車を使わずに生活したり、マラソンに挑戦したりと、新たな自分を見つけるための努力を続けます。そして、40歳を過ぎてから本格的に勉強を始め、早稲田大学第二文学部に入学 。今度は真面目な学生生活を送り、2004年に晴れて卒業。

故郷・宮崎への思い、そして政治の道へ

大学で福祉を学び、故郷・宮崎の現状を知る中で、政治への道を志すようになります。2006年、宮崎県知事選への出馬を決意 。

16年間連れ添った妻との離婚、師匠であるビートたけしさんへの相談など、大きな決断を経て選挙戦に挑みます。持ち前の行動力で、県内各地をくまなく回り、県民の声に耳を傾けました。

結果は、開票開始わずか4分で当選確実。圧倒的な支持を得て、宮崎県知事の座を射止めました。

改革への挑戦、そして未来への希望

2007年1月23日、いよいよ宮崎県知事として新たなスタート。初登庁の挨拶では、職員に向けて「県庁内に裏金はありませんか?」と発言。前知事の汚職事件で失墜した県政の信頼回復に向け、その一歩を踏み出しました。

本書では、東国原氏が県知事として、宮崎県の抱える様々な問題にどのように立ち向かおうとしていたのかが描かれています。

最初のあいさつ「県庁内に裏金はありませんか?」から、ピリッとする雰囲気が走ります。
この後は怒涛の展開。
鳥インフルエンザ、宮崎のPR活動、県議会のネット中継など、東国原氏の活動が書かれています。

まとめ

本書は、一人の人間の人生が凝縮された、読み応えのある作品です。波乱万丈な人生を通して、東国原氏が何を考え、何を感じてきたのかを知ることができます。特に印象的なのは、彼が故郷・宮崎への深い愛情を抱き、その再生のために全身全霊で取り組んでいる姿です。

お笑い芸人時代の裏話や、師匠・ビートたけしさんとのエピソードなど、ここでしか読めない話が満載な本書。
複雑な家庭環境で育ちながらも、逆境に負けずに夢を実現させていく姿は、ウルっときてしまいました。

本書はエンターテイメント性と社会性を兼ね備えており、幅広い読者層におすすめできます。

本の目次と要約

第1章 天孫降臨の地・宮崎で生まれ育った思い出

  • 複雑な家庭環境で育った幼少期:複雑な家庭環境で育った著者の幼少期を描写し、当時の貧しいながらも人情味あふれる宮崎の暮らしが描かれている。
  • 小学校時代:標準語と宮崎弁を使い分ける教師や、笑いの力に魅せられたサーカス小屋での思い出など、子供らしい視点で当時の出来事が語られる。
  • 思春期:複雑な家庭環境に戸惑いながらも、思春期特有の恋愛や友人との冒険を通して成長していく様子が描かれている。
  • 養父の想い:実父との別れと養父との出会い、そして養父が教えてくれた勤勉さや責任感の大切さなどが語られる。
  • 高校時代:宮崎県立都城泉ケ丘高校での思い出、特に友人との絆や地元への愛着が深まったエピソードが紹介される。
  • 再び訪れた別れ:幸せな時間もつかの間、再び訪れた家族との別れを通して、著者の心の葛藤が描かれる。

第2章 こんな田舎好かん!とにかく東京へ出る!

  • 大学進学と東京での生活:大学進学を機に上京を決意した著者が、希望と不安を抱えながら東京での新生活をスタートさせる様子が描かれている。
  • お金と自由、そして不安:上京早々、お金の管理の甘さから様々なトラブルに見舞われながらも、持ち前のバイタリティで乗り越えていく様子が描かれている。
  • アルバイトの日々:様々なアルバイト経験を通して、社会の厳しさや人との出会いを経験し、人間的に成長していく様子が描かれる。
  • 麻雀との出会い:麻雀にのめり込みながらも、その奥深さや駆け引きの面白さに魅了されていく様子が描かれる。
  • お笑いとの運命的な出会い:偶然の出会いから、お笑いの世界に足を踏み入れることになった著者の転機が描かれている。

第3章 たけし師匠&お笑いの世界で学んだこと

  • たけし軍団への加入:ビートたけしとの出会いから弟子入り、そしてたけし軍団の一員として活動していく様子が描かれる。
  • 軍団での日々:個性的なメンバーが揃うたけし軍団での日常、厳しさの中に垣間見える師匠・たけしの人間性や愛情が描かれている。
  • 芸人としての成長:たけし軍団での活動を通して、芸人としての才能を開花させていく過程が描かれている。
  • 師匠・たけしからの教え:たけしから受けた数々の教えや影響、そして芸人としての生き方、考え方などが語られる。
  • フライデー襲撃事件と謹慎生活:フライデー襲撃事件の真相と、その後の謹慎生活を通して感じたこと、考えたことが語られる。

第4章 挫折&謹慎~大学に再入学→政治を志したわけ

  • 謹慎生活と自分自身と向き合う日々:謹慎生活を通して、自分自身を見つめ直し、人生について深く考えるようになった著者の変化が描かれている。
  • 励まし:謹慎中に支えとなった、師匠・たけしや芸能界の仲間からの温かい励ましが語られる。
  • マスコミへの違和感と怒り:一連の騒動を通して、マスコミの報道姿勢や倫理観に疑問を抱くようになった著者の心情が吐露される。
  • 価値観の変革:謹慎生活を機に、それまでの価値観を大きく変え、新たな目標に向かって歩き始める決意が語られる。
  • マラソンとの出会い:マラソンに挑戦し、その魅力に取りつかれていく様子や、マラソンを通して得た教訓が語られる。
  • 学びへの渇望:40歳を過ぎてから大学に再入学し、学び直しに励む著者の意欲的な姿が描かれている。
  • 政治への関心:大学で政治経済を学び、地方自治や政治のあり方について深く考えるようになった著者の変化が描かれている。
  • 知事選出馬を決意:宮崎県知事選への出馬を決意した著者の決意と、その背景が語られる。

第5章 出馬を決意!知事選当確までのドタバタ劇

  • 離婚:知事選出馬を機に、妻との離婚を決断した背景や、家族への想いなどが語られる。
  • 宮崎県知事選への出馬表明:周囲の反対や不安を押し切り、宮崎県知事選への出馬を表明した著者の覚悟が描かれる。
  • 選挙活動開始:選挙活動を通して、県民の生の声を聞き、宮崎の現状を肌で感じていく様子が描かれている。
  • 苦戦する選挙戦:当初は知名度を活かした選挙活動が功を奏する一方で、政策論争では苦戦を強いられる様子が描かれている。
  • 選挙戦終盤:選挙戦が進むにつれて、県民の関心が高まり、著者の訴えが徐々に浸透していく様子が描かれている。
  • 当選確実:選挙の結果、圧倒的な支持を集め、見事当選を果たした瞬間の喜びが語られる。

第6章 宮崎の問題→それは日本全体の問題でもある

  • 初登庁:当選後、初めて宮崎県庁に足を踏み入れた時の心境や、県職員との初対面の印象などが語られる。
  • 知事としての決意表明:就任の挨拶で、県職員に向けて、県政改革への意気込みや、透明性の高い県政運営への決意を表明する。
  • 県政の現状:就任早々、鳥インフルエンザ発生や漁船遭難事故といった緊急事態に直面し、県政の課題や問題点が浮き彫りになっていく。
  • 宮崎のセールスマンとして:宮崎の魅力を全国に発信するために、自ら陣頭指揮を執り、精力的に活動していく様子が描かれている。

第7章 宮崎発!この国もどげんかせんといかん!

改革の成果:就任から現在までの改革の成果と、今後の展望、そして宮崎県民への感謝の気持ちが述べられる。

宮崎から日本を変える:宮崎発の改革を全国に広げ、日本全体を変えていきたいという著者の強い想いが語られている。

改革への挑戦:縦割り行政の弊害や、前例踏襲主義からの脱却など、様々な課題に直面しながらも、改革に向けて果敢に挑戦していく様子が描かれる。

女性のための改革:女性の社会進出や子育て支援など、女性が活躍できる社会の実現に向けた具体的な政策が提示される。

宮崎の未来:破綻したシーガイアリゾートの教訓を踏まえ、観光立県としての宮崎の未来や、持続可能な地域活性化へのビジョンが語られる。

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